JRAの性能

シービスケットがエントリーした格式あるベイメドウズパンデ戦のハンデ作成委員から、悪い知らせが届いたのだIシービスケットには57.6キロの斤量が課せられる。 Sは出走取り消しを強硬に主張した。
ほどなく東部遠征に向かうことがわかっていただけに、彼としてはハンデ作成委員に、この馬が驚異的な重量に耐えうることを知らせたくなかったのだ。 だがHはどうあっても出走を取り消そうとせず、結局は馬主の言い分が通った。
レースの開催日は、強風とともに明けた。 突風が吹ぎ荒れるなか、Pが競馬場に到着した。
別の馬の斤量をクリアするために激しい減量をつづけた結果、体調は最悪で、立つのもやっとというありさまだった。 ジョッキールームに入ったとたんに昏倒し、午後はほとんど、意識を失ったままだった。
レースの30分前になっても起きることができず裁決委員はHを呼び、別の騎手を用意するようにいい渡した。 発走時刻の数分前、Pがようやく起き上がった。
彼は頑強に、ちゃんと乗れるといい張った。 委員は渋々、騎乗を許可した。
シービスケットもPの衰弱ぶりを感じ取ったらしい。 馬はスターティングゲートを何度も突破して、スタートを3分間遅らせた。

発走しても煮えきらないレースをくり広げ、直線では風に苦しみつつ、厩舎仲間のイグジピットに僅差でどうにか勝利した。 最後の100メートルでは、Pがまたしても気を失うかに見えたが、どうにか最後までもちこたえた。
Pはウィナーズサークルに向かい、セレモニーを最後まで終えた。 サンタ戦以降、シービスケットに関しては、文句のつけようがない騎乗を見せていたものの、あの時の敗北は、まだ克服できていなかった。
大衆の非難は彼を消耗させた。 マスコミもあのレースを忘れようとしなかった。
ベイメドウズ競馬場で、彼の怒りは沸点に達した。 トラックを歩いていると、駐車場を横切るOが見えた。
サンタ戦ではPの騎乗を糾弾したものの、Oはそれ以降、記事でおおやけに彼を賞賛し、Aの敗北をジョッキーの責任に帰したのはあやまりだったかもしれない、とまでほのめかしていた。 だがPの敵意はまだ燃え盛っていた。
彼は駐車場に向かい、Oを呼び止めた。 向き合ったふたりは険悪な言葉を交わし合った。
減量でピリピリしていたPは自制を失った。 新聞紙を拾い上げると、棒状にきつく巻き、Oの顔面に一発お見舞いした。

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